コラムcolumn

夏バテと運動

夏になると気温や湿度が上昇し、これに身体が順応できずに現れる症状を総称して「夏バテ」と呼んでいます。体力低下や食欲不振、疲労感など体調不良が出現します。この状態に対処するため運動が有効です。

夏バテの原因と症状

夏バテの主な原因は

1.高温多湿な環境に長時間さらされることによる自律神経(交感神経と副交感神経)の乱れです。
  ・交感神経は、暑さを感じた時に活性化し、発汗を促進し、血管を拡張させて体温を下げようとします。
  ・副交感神経は、身体がリラックスした状態で活性化し、身体を休ませる役割をはたします。
長時間の高温環境は交感神経が過度に活発になり、副交感神経の働きが抑えられ、結果的に体温調整が上手くいかなくなります。

2.温度差による負担
 夏場は室内と屋外の温度差が大きくなることが多いです。室内外の移動における身体の急激な体温変化に対応するため自律神経が頻回に働く必要があります。この働きによって自律神経が疲弊しバランスが崩れてしまいます。

3.水分と電解質の不足
 暑い環境では多くの汗をかくため、水分や電解質(ナトリウム、カリウムなど)が失われます。この不足が続くと血液循環が悪くなり自律神経の働きに影響します。
また、脱水状態による血流の悪化は、脳や他臓器への酸素供給の不足を招き、この状態は交感神経を過度に刺激してストレスホルモンの分泌を促進します。
また、NaやKは神経伝達に重要な関わりがあるため、これらの不足により神経機能が低下して自律神経の調節が悪くなる可能性もあります。

4.睡眠不足
 夏の暑さや夜間高温により睡眠が取れないことも自律神経の乱れを引き起こす要因です。睡眠不足は、身体の回復を妨げ、交感神経優位の状態になり、日中の疲労感や集中力の低下が生じ、自律神経のバランスが更に悪化します。

5.過度の冷房使用
 冷房が効き過ぎた室内に長時間いると、体温が必要以上に下がり、自律神経がそれに対応しようとして副交感神経優位になり過ぎて体温調節のバランスが崩れます。

主な症状

だるさ、頭痛、めまい、倦怠感、胃腸の不調

夏バテ対策

・睡眠対策

22時から2時の間は成長ホルモンなどの分泌が高まるので、その時間帯に睡眠時間を十分に確保しましょう。もし困難なら20分程度の昼寝で補いましょう。

・冷房設定対策

体温調節は自律神経のバランスによって保たれています。しかし温度差が大きいとそのバランスが崩れてしまいます。冷房の設定は、外気温との差が5℃以下を目安にしましょう。

・水分補給対策

喉が渇いたと感じたら既に脱水が進行しています。こまめな水分補給をしましょう。

夏バテ予防は有酸素運動が効果的

夏バテとは交感神経が過度に優位になった状態と言えます。自律神経のバランスを整え、副交感神経の働きを助けるためには、有酸素運動がお勧めです。

1.運動の強さ

人と話ができて、軽く汗ばむ程度で、最大能力の50%程度に相当する運動の強さです。これは年齢や体力によっても異なりますが、この程度で無理せず行う事が大事です。

2.運動時間

 30分の運動を、分割しても(10分x3回)、連続しても(30分x1回)効果は同じと言われています。1日の総運動時間で考えましょう。

3.運動の頻度

 休養を取りながら無理なく続けるのがポイント。

4.運動の種類

 ジョギング、ウォーキング、スクワット、ヨガ、踏み台昇降、エアロビクス、水泳等、色々な有酸素運動がありますが、日常生活でちょっとした工夫をしても実施できます。

通勤中に階段の利用、乗り物から一駅分徒歩での移動に切り替える、いつもより少し早歩きしてみるのもよいでしょう。また、フィットネスゲームの活用やラジオ体操なども有効です。