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・膝に負担がかかることはしていませんが・・
人は二足歩行する生き物なので、普通に歩いているだけでも膝には負担がかかります。
膝関節の滑らかな動きを可能にする軟骨が、長年の使用と負担の蓄積によってすり減ることで起こります。
多くの場合、膝関節靭帯や半月板の変性・断裂がきっかけとなって、膝の安定性や衝撃吸収機能が低下し、軟骨が次第にすり減っていきます。
特に高齢の方、女性の方、肥満傾向の方、仕事やスポーツなどで膝に負担のかかる動作を多く行う方、過去の怪我や遺伝的要因のある方
・正座してもいいですか?

正座をしたからと言って変形性膝関節症になりやすいと言うわけではありません。
しかし、正座の姿勢は膝に非常に大きな負担をかけるため、膝が痛い時はあまりしない方が良いと思います。
痛みが強い時は無理せず、ある程度痛みが軽減してからお風呂等で膝を温めてからゆっくり膝の曲げ伸ばしの運動をするのがお勧めです。
・運動した方が良いと聞いて階段昇降をしていますが・・・

変形性膝関節症の症状を緩和するためには、膝や太もも周囲の筋肉を鍛える事が有効です。
しかし、階段昇降や登山などは膝にかかる負担が大きいため(通常の5-6倍の負荷が膝にかかると言われています)注意が必要です。痛みがある時に無理してしない方がよいです。
できれば平地でのウォーキングやサイクリング位の運動がお勧めです。
・関節に水がたまるのはなぜですか?

膝の水は「関節液(かんせつえき)」という液体です。関節液には、関節の動きを滑らかにする潤滑油の役割と、軟骨組織に栄養を届ける役割があります。
関節液はどなたの膝の中にも存在しますが、「膝に水が溜まる」のは、その量が異常に増えてしまった状態と考えてください。通常1〜3mL程度なのですが、多い人だと30mL以上にまで増えてしまうことがあります。
関節液の量を調節するのは滑膜です。滑膜は、新しい関節液を作って分泌すると同時に、古い関節液を回収する働きを担っています。
なんらかの理由でこの新陳代謝のバランスが崩れ、関節液の回収が追い付かなくなった時、膝に水が溜まります。
その原因として、加齢で弱くなった軟骨や半月板などの関節組織がすり減り、そのかけらが滑膜を刺激して炎症を引き起こしてしまうからです。
・関節の水を抜くと癖になると聞きましたが?

それは間違いです。
何度も水が溜まる人は膝の滑膜の炎症が続いているということで、逆に放置すると炎症と痛みが更に悪化する可能性があります。
必要以上に水が溜まった場合はなるべく早く水を抜いて、同時に原因を突き止めて、根本的に解決することが大切です。
・痛み止めは身体に悪いんですよね?

「できれば薬を飲みたくない」という気持ちはよくわかります。
勿論内服を使わなくても痛みが取れるのであれば必要ないものです。
しかし、
いたずらに痛み止めを嫌い、痛みが長引いてしまうと、痛みの制御がきかなくなり、痛みに対して過敏な状態となってしまいます。
積極的に痛みを軽減していくことが大切です。
また、痛み止めには炎症を抑える作用のものがありますので、炎症性の痛みが強い時には積極的に内服を使用した方が良い場合があります。
痛みの原因を適切にとらえ、必要に応じて薬を使用することが大切です。
病気になった人の疑問は尽きません。わからない事はお気軽にご相談ください。
(森 敦幸 先生他 参照)