日本の夏は年々厳しさを増し、うだるような暑さが続く季節となりました。このような環境下では、つい外出を控えてしまいがちですが、特に中高年の方々にとっては、運動不足が健康に与える影響は決して小さくありません。夏だからこそ意識したい、賢い運動習慣で、心身ともに健やかな夏を過ごしましょう。

なぜ、夏にこそ運動が大切なのか?
「夏は暑いから運動は避けるべき」という考えは、必ずしも正しくありません。確かに、日中の炎天下での激しい運動は危険ですが、適切な方法で体を動かすことは、夏の健康維持に不可欠です。
・暑熱順化の促進:
暑さに体を慣らすことを「暑熱順化」と呼びます。適度な運動によって汗をかく習慣をつけることで、体は効率よく体温を調節できるようになり、熱中症のリスクを軽減できます。冷房の効いた部屋にこもりきりでは、この順化が進まず、かえって暑さに弱い体になってしまいます。
・生活習慣病の予防・改善:
夏は食欲不振や冷たいものの摂りすぎ、睡眠不足などで生活リズムが乱れがちです。これにより、高血圧や糖尿病といった生活習慣病が悪化する可能性もあります。定期的な運動は、血糖値や血圧の安定、コレステロール値の改善に繋がり、夏の健康リスクを低減します。
・心身のリフレッシュ:
運動は、ストレス解消や気分の向上にも大いに役立ちます。体を動かすことで、気分転換になり、夏の倦怠感を吹き飛ばすことができます。また、適度な疲労感は質の良い睡眠を促し、夏バテの予防にも繋がります。
夏の運動、安全に楽しむための8つの鉄則
夏に運動を行う上で最も重要なのは「安全」です。以下のポイントを必ず守りましょう。

・時間帯を厳選する:
太陽が最も高く昇り、気温も湿度も高くなる午前10時から午後4時頃は避けましょう。比較的涼しい**早朝(日の出後)や夕方(日没後)**が最適です。
・こまめな水分補給:
喉が渇いていなくても、20~30分に一度、コップ1杯程度の水分(水、麦茶、スポーツドリンク、経口補水液など)を摂りましょう。運動前にもしっかり補給してください。
・服装の工夫:
吸湿性、速乾性、通気性に優れた素材のウェアを選び、体の熱がこもらないようにしましょう。白や淡い色の服は日光を反射しやすいのでおすすめです。帽子やサングラスも忘れずに。
・無理は絶対しない:
体調が少しでも優れないと感じたら、すぐに運動を中止し、涼しい場所で休憩を取りましょう。めまい、吐き気、頭痛、ふらつきなどの熱中症のサインを見逃さないでください。

・準備運動と整理運動:
運動の前後には、十分な準備運動と整理運動(ストレッチ)を行いましょう。これにより、怪我の予防だけでなく、血行促進にも繋がります。
・涼しい場所を選ぶ:
公園の木陰が多い道、空調の効いた施設(スポーツジム、公民館の体育館など)、商業施設のウォーキングコースなどを活用しましょう。
・二人以上で:
可能であれば、誰かと一緒に運動することで、万が一の事態にも対応しやすくなります。
・体調記録:
毎日の体温や体重、睡眠時間などを記録する習慣をつけると、自身の体調変化に気づきやすくなります。