コラムcolumn

歩くと脚がしびれて歩けない

立つ、歩くといった移動に関わる能力が低下すると(ロコモティブシンドローム)将来介護が必要となるリスクが高まります。

 現在、国内の40代以上の人口のうち約3分の2にあたる4660万人がロコモ度1以上という推計もあり、その中に「休まず歩き続ける」のが困難となる場合があります。
その原因に腰部脊柱管狭窄症が潜んでいます。

腰部脊柱管狭窄症

症状

 こうした症状を「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」と言いますが、そのような自覚があったら、腰部脊柱管狭窄症である可能性が高い。

症状が進行するとその距離が徐々に短くなり、安静時も正座した時に足の神経が圧迫されてしびれ、ジンジン痛む様な症状が出るようになります。
更に進行すると、排尿・排便障害や下肢の麻痺などの重篤な症状があらわれることもあります。

40代から増え始め、50代以降から高齢者にかけて急激に増えていき、50~60代では男性に多いのが特徴です。

原因

その原因として、腰の部分の背骨(腰椎)の椎間板というクッションが潰れて出っ張ったり、骨棘という骨の棘が生じたり、椎間関節に変形が起こったり、骨を支える黄色靭帯が厚くなったりして脊柱管を狭くすることもあります。

腰をかがめて腰椎を丸めると、脊柱管が少し広がるため神経の圧迫が緩まり、痛みが楽になります。

治療

保存療法

薬物療法
痛みを和らげる薬(消炎鎮痛剤)、末梢血管を広げて神経の血流を増やして症状を和ら
げる薬(リマプロスト)、中枢神経に作用して過剰に興奮している神経を鎮める薬(プレ
ガバリン、オピオイドなど)を使って治療します。

注射治療
痛みが激しい場合に、硬膜外に局所麻酔薬や生理食塩水などを注射して、痛みを引起
こしている物質を洗い流して症状を緩和する方法や、痛み起こしている神経の枝(神経
根)に直接ステロイド剤を注射して痛みをとる神経根ブロック注射、末梢血管を広げる点滴注射などがあります。


・ストレッチング:腰や足の筋肉を伸ばすことは、圧迫された神経に対する緊張を和らげ、痛みを軽減するのに役立ちます。
・筋力トレーニング:体幹の筋力を強化します。体幹筋力の改善は脊柱の安定化に貢献し、神経の圧迫を減少させます。体重(自重)を利用した運動が一般的です。
・有酸素運動:体力を高め、体重管理にも効果的です。適度な運動、特に低負荷の運動(ウォーキング、水泳、サイクリングなど)は、脊柱管狭窄の症状を和らげることが示されています。
・姿勢指導:正しい姿勢を維持することは、脊椎への圧力を最小限に抑え、症状を和らげるのに重要です。専門家は、日常生活での動きや姿勢を改善するための指導を行います。

手術

・除圧術:神経を圧迫している骨や靭帯、椎間板を削って脊柱管を広げる手術です。体への負担が少なく、合併症の頻度も低いのが特徴です
・固定術:背骨にネジを入れて背骨を動かなくすることで神経の圧迫が起こらないようにする方法です。背骨にぐらつきや大きなずれがある場合に行われます。

リハビリテーションの重要性


リハビリテーションを行うことで、痛みの軽減、筋力と柔軟性の向上、体幹の安定性の増加、そして全体的な体力の向上が期待できます。

自主トレーニング例

・ワイドスクワット

1.肩幅より広めに足を広げます
2.つま先は45度ほど外側へ向けます
3. 膝と股関節を曲げます(膝に手を置くようにしてもよいです)
4. ゆっくり元に戻します
5. この動きを10回繰り返します
4. 1日2.3セット行います

・ヒップアップ

1. 両膝を立てて仰向けになります
2. 足の裏で地面を押すように力を入れ、お尻を浮かせます
3. この時に腰が反らないように、お腹にも力を入れてください
4. 10秒キープできたら、ゆっくりお尻を下ろしてください
5. この動きを10回繰り返します
6. 1日2.3セット行います