神経痛neuralgia

神経痛

神経痛

神経痛とは、骨や軟骨などが歪むなどして末梢神経(感覚神経)を圧迫(刺激)するなどして、痛みやしびれを感じ、それを中枢神経へフィードバックすることで痛み(しびれ)として認識している状態を言います。

神経痛の原因・症状

神経痛には、原因が特定できる神経痛(症候性神経痛:腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛 など)と原因が特定できない神経痛(特発性神経痛)があります。なお、症候性神経痛には、坐骨神経痛(お尻から太ももにかけて痛みやしびれが出る)、肋間神経痛(肋骨に沿って痛みが出る)などがあります。神経痛の痛みに関しては、まるで電気が走ったかのようなピリピリ、もしくはジンジンとした痛みを感じることが多いです。

主な症候性神経痛

手根管症候群

手根管症候群は、手の関節部にある手根管の神経が圧迫されることにより、指を思い通りに動かせなくなる疾患です。手には親指から薬指までの感覚を支配する正中神経が通っています。この部位が何らかの原因で異常をきたすと、様々な問題が起こります。主な症状としては、手の痺れ、チクチクとした痛みです。指が痺れることにより、物を掴みにくくなることもあります。男性にも起こりますが、どちらかというと女性や手をよく使う人に起こりやすい傾向があります。当クリニックでは、お薬を内服したり注射したりする薬物治療を基本にしていますが、治りにくい方には局所麻酔による手術も行います。

肘部管症候群

肘部管症候群は、肘の内側にある肘部管と呼ばれる部分の神経が圧迫され、思うように手を動かせなくなる疾患です。繰り返し肘に負担をかけていることで起こりますので、仕事やスポーツで肘を酷使する人は要注意です。特に、野球の強豪チームの投手の場合、変化球などで手や肘に複雑な負荷をかけることが多く、肘部管症候群になりやすいと言われています。このような状態になったときは、患部を安静にし、お薬によって痛みを抑えていくことが大前提です。もっとも、肘を酷使する仕事に従事している方の場合、なかなか安静にしていることも難しいので、医療機関を受診して神経の圧迫を取り除く手術などを検討します。

坐骨神経痛

坐骨神経とは、腰椎下部あたりから足にかけて伸びている神経のことを言います。同神経が何らかの原因によって圧迫、刺激を受けることで痛みやしびれなどの症状が現れている状態が坐骨神経痛です。この場合、まず腰痛が起きるようになって、それに続くかのように臀部や太ももの裏側、すね、ふくらはぎ、足先などにしびれや鋭い痛みが左右どちらか片側で常に起きるようになります(両側で起きることもあります)。このほかにも間欠性跛行、前屈時に足のしびれや痛みがひどくなって、前かがみの状態で靴下が履けない、靴紐が結べないということもあります。発症の原因については、若い世代では腰椎椎間板ヘルニアの患者様、高齢者になると腰部脊柱管狭窄症の患者様でみられることが多いです。このほか、お尻の真ん中あたりにある梨状筋の中を走っている坐骨神経がスポーツによる酷使や外傷によって圧迫を受ける(梨状筋症候群)、脊椎や脊髄などのがんといったことで起きることもあります。治療が必要な場合ですが、激しい痛みがあればNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や外用薬、神経ブロック注射を使用していきます。またリハビリテーション(理学療法)による運動療法などが効果的な場合もあります。なお上記の保存治療だけでは改善効果が見込めないという場合は、手術療法を行っていきます。

肋間神経痛

肋骨と肋骨の間を通る神経を肋間神経と言います。この場合、背中より胸部、腹部にわたって肋骨をなぞるかのようにピリピリとした痛みがみられるようになります。片側の肋骨に現れることが大半ですが稀に両側で起きることもあります。また上記のような痛みだけでなく、胸部の前方でチクチクした痛み、胸部の圧迫感や締め付けられるような症状が現れることもあります。発症原因については、帯状疱疹後神経痛、胸椎の圧迫骨折(肋骨骨折)、椎間板ヘルニア、腫瘍、手術後の後遺症、ストレスのほか、内臓疾患(胃や心臓 など)に関連した放散痛として現れることもあります。治療に関してですが、骨折や腫瘍、椎間板ヘルニアが原因であれば、それらの治療を行っていきます。これら以外の場合は、痛みを抑える対症療法として、NSAIDsやその他の薬物療法等を行い、強い痛みの症状があれば神経ブロック注射を行っていきます。