靭帯・腱損傷などの外傷ligament

靭帯・腱損傷などの外傷

靭帯・腱損傷などの外傷

靭帯への外傷

靭帯とは、骨と骨とを結合させている強靭な繊維組織です。バスケットボールやバレーボール、スキーなどのスポーツ時に、強い力が働くことで損傷し、時には断裂することもあります。靭帯断裂の代表的なものとしては膝関節の前十字靭帯・後十字靭帯の断裂や、足関節の靭帯断裂があげられます。強い痛みと腫れが主な症状で、痛みのために患部周辺を動かせないこともあります。また膝関節の十字靭帯を損傷した場合、グラグラと不安定感が強くなります。放置すると損傷した靭帯が膝関節の組織(軟骨面や半月板など)を傷つけてしまい、骨の変形をきたすこともあります。

靭帯に対する処置

応急処置として、RICE法を行ってください。治療には「手術療法」と、手術を行わずに、固定や装具を使ったリハビリテーションで治療する「保存療法」があります。将来的にも競技スポーツに関わっていきたいかどうか、脚に負担のかかる仕事をしているかどうかなど、損傷の状態をもとに、本人の意向を尊重して治療方法を選択します。

腱への外傷

「腱」は、筋肉の先端部分にあり、骨にしっかりと固着している強靭な結合組織です。筋肉は伸縮性があるのですが、腱はあまり伸縮しません。そのため、無理な力で引っ張る(引っ張られる)と、腱がプッツリと切れてしまうことがあります。これが「腱断裂」です。身体のどこの部位でも起こりますし、手や腕などでもよく見られます。高齢者の方の場合は、見過ごされがちですが肩の肩腱板断裂も多く発生しています。ここでは、腱断裂のなかでも圧倒的に多い「アキレス腱断裂」について簡単に解説します。アキレス腱断裂は、スポーツをしている際の踏み込みや、着地・ダッシュ時などでよく起こります。断裂時には、バチッという音が聞こえたり、かかとを蹴られたような感覚があり、激痛が走ります。アキレス腱を切ると歩きづらくなりますが、足のほかの筋肉などがあるため、完全に歩行不能にはなりませんが、つま先立ちができなくなります。アキレス腱断裂が起こったら、応急処置として患部を冷やして仮固定し、すぐに整形外科を受診してください。

腱に対する治療・処置

断裂した部分に凹みが見られたり、凹みに触れることができます。うつ伏せに寝たまま膝(ひざ)を直角に曲げた状態でふくらはぎをわしづかみにすると、健常であれば足首がひっぱられるように底屈しますが、アキレス腱を断裂してしまうとまったく底屈しません(トンプソンテスト)。画像診断は一般的には必要ありませんが、場合によっては、超音波やMRIなどが行われます。治療には、手術を行ってアキレス腱を縫合する方法と、手術を行わず、固定と装具療法で回復に導く保存療法の2種類あります。手術療法と保存療法を比較したとき、いずれの方法を選択しても長期的にはほとんど差はありません。手術の方が若干回復は早くなるため、スポーツ選手では手術を行うことが多いのですが、感染などのリスクもありますので、一般の方の場合には保存療法をおすすめします。いずれにしろ、損傷の状態や患者さんのご希望などを考慮し、ケースバイケースで治療方法を選択し、早期から適切なリハビリテーションを行います。