捻挫
関節に力が加わって起こるケガのうち、骨折や脱臼を除いたもの、つまりX線(レントゲン)で異常がない関節のケガは捻挫という診断になります。具体的には靭帯や腱というような軟部組織といわれるものや、軟骨(骨の表面を覆う関節軟骨、間隙にはさまっているクッションである半月板や関節唇といわれる部分)のケガです。
捻挫の原因
手首の場合、手をつく、手をひねる、スポーツ動作などによって手に大きい力が加わり、受傷します。手関節周囲にある靭帯などの組織が損傷することが主ですが、損傷の程度によっては手首の小指側にある軟骨が損傷していることもあります。足首についても同様に、⽇常⽣活やスポーツなどの最中に⾜⾸を捻ることで⽣じます。捻挫は1~2か月経過すると強い痛みがなくなるため、通院せずに放置する方も多いです。しかし、患部周辺は確実にダメージを受けており、関節が不安定な状態となって元通りに戻らなくなる場合がございます。また、関節痛の傷が積み重なると、変形性関節症というような(老化現象で関節の軟骨がすり減って関節が変形してくる)状態に至ることがあり、注意を要します。
捻挫の診断
診断はまず、受傷時の状態(関節がどのようになってケガをしたか)を詳細に知ることから始まります。関節に直接力が加わったものか、ジャンプの着地で捻じったなど間接的な外力によるもの(非接触性のケガ、と呼ばれます)か、ケガのとき関節がどのような角度で、どちらの方向に動いたのかなど、受傷時の状態を教えてもらえれば、診断にとても役にたちます。その後の診察では、押さえたり関節に力を加えたときの痛みの場所や、(靭帯のケガにより)関節がゆるくなっていないかどうかの評価を行います。またMRIは診断上に有用な情報が得られる検査です。これらの情報を総合して判断し、診断がくだされます。
捻挫の処置
捻挫は受傷してすぐの処置が大切です。初期症状の場合、RICE処置の流れに沿って処置をすることが大切です。
Rest:安静 捻挫した⾜⾸を固定します。
Icing:冷却 冷やして腫れを抑えます。(保冷剤や氷嚢などを使うとよいです)
Compression:圧迫 包帯などで圧迫することで、腫れを防ぎます。(締めすぎには注意が必要です)
Elevation:挙上 捻挫した側の⾜を⾼くして腫れを防ぎます。(⼼臓より⾼い位置にすると効果的です)
また、靭帯が断裂している状態や、踵骨前方突起骨折であればしばらくの間の安静・治療が必要です。装具(ギプス、シーネなど)による固定を数週間⾏います。固定を続けていると関節が固くなったり、靭帯がうまく修復されなかったりなどの懸念があります。そのため、理学療法⼠によって、⾜⾸の関節の柔軟性改善や筋⼒改善のためのリハビリを⾏います。捻挫といって軽視せず適切な治療をすることが⼤切です。